ナギ ナリコのENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

観劇というよりアトラクション体験@森下スタジオ 庭劇団ペニノ『蛸入道忘却ノ儀』

タニノクロウさんの庭劇団ペニノの久しぶりの新作舞台に足を運びました!


庭劇団ペニノ『蛸入道 忘却ノ儀』(作・演出:タニノクロウ)trailer

庭劇団ペニノ「蛸入道 忘却ノ儀」 | 庭劇団ペニノ

まず、劇場内に入ると、スタジオ内に荘厳な山寺が作られているのに驚きます…タニノさんはいつも舞台美術に大変こだわりをお持ちですよね。

今回も本当に内部にいるとスタジオという屋内にいることを忘れてしまいそうな立派な山寺のセットです。

山寺には中心に蛸の形状の吊りもの(鐘に蛸脚のようにひもが繋がれたもの)があり、そこをぐるっと囲むように座席が配置されています。

その前に、別室でお札にそれぞれの願い事と名前を書いており、それが(おそらくそれまでの回のお札)が堂内あちこちに貼ってあります。また、入室の時に鈴か、鳴り物と教本を手渡されます。

開演すると、始まるのは蛸入道の関する宗教的な儀式です。

壁面の扉を閉めたり、教本(南無阿弥陀仏に蛸入道アレンジを加えたもの)を全員で朗誦したり、鳴り物を鳴らしたり…

出演者が男女で八人いるのですが、皆一様に蛸色(=赤)の服を着ていて、途中お水を配ったり、観客の参加を促しながら儀式がすすめられます。

最初に書いたお札ははじめの段階で読まれます。(余談ですが、これほとんどの方が素直にじぶんのフルネーム書いていて、皆さん素直だな、と思いました…わたしあだ名にしたので…)

教本には仏教の南無阿弥陀仏や少しジャズ?のような楽譜、蛸入道の遺跡が発掘された場所の地図?構造図?のようなもの、蛸と言えば北斎の某浮世絵が有名(ですよね?)ですが、そのイラスト、陰陽的な図やら何やら、色紙など…が教本に入っています。

これを出演者がはじめから、ずっと読み、儀式を執り行い、観客はそれをずっと見続けているのです。

経を読むほかに音楽も演奏されますし、途中、温度が暑くなっている訳でもないのに、あまりにも出演者が熱心に儀式に没入するため、不思議と堂内が暑くなっているように感じるようになります。少し、堂内がこもっている気もするのですが、クライマックスに至るまでは物凄い迫力でした。

ただ、わりと上演時間全体使って、観客は経を読んだり、鳴り物を鳴らしたり、等色々やるのですが、終始「傍観者」というポジションなのですよね。観劇というより、ひとつのアトラクションなのかな、と感じました。

演者さんが皆汗をだらだらとかいて必至の形相で、大迫力なのですが、一方で観客側としては没入しているようでしていないような印象があるのです。あくまでも「傍目」というか。

進行具合から例えば、クライマックスでお堂の天井が開いたり、壁が動いたり、演者がなにか…ということを想像していたのですが、意外とふつうに、というか最初から最後まで「蛸入道忘却ノ儀」で終わったんですよね。その意味では少し拍子抜けした内容ではありました。

仏教や信仰をどこか皮肉っている面もありましたし、タニノさんのお話しから察するに

(私の回はゲスト講師:山口宏子(朝日新聞記者)とのトークがありました)、既存の演劇の客席、観客の関係性を変える事こそが、タニノさんのしたかったことなのかな、という印象を受けました。ただ、タニノさんって本当独特の感性をお持ち、というか。

トークの内容もわかるようなわからないような、おしゃべりの仕方でしたし、タニノクロウさんの深層心理に触れることは一観客には簡単に出来そうもないな、そもそもこの作品で何か色々語ろうとすること自体野暮なのだな、という感想に落ち着きました。

7月1日で終演しておりまして、ネタバレを聴いてしまうと、なんだそんなこと、と、もしかしたらなるような芝居?アトラクション?見世物、なのかもしれません。(Twitterでも呟いたのですが、何か意味づけすると価値を見失うタイプの作品、というか)

でも確かにこれまでの客席、観客と、出演者、という関係性ではなしえなかったものが確かにそこには生まれているように思えました。

たまにはこんな観劇?体験も良いな、と思うのです。

タニノさんの持っている世界観は普通の人間、凡人には理解できないことも多いのですが、総じて、興味深い体験となりました。

ナギナリコがお届けしました。

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