ナギ ナリコのENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

オペラ初観劇はベートーヴェンの問題劇!@新国立劇場オペラパレス 開場20周年記念特別公演 カタリーナ・ワーグナー演出『フィデリオ』

初めて、生でオペラ全幕ものを観ました!新国立劇場は今年開場20周年!色々力入った興行が沢山行われています!ご縁あって観ることになったこのフィデリオ、恐れながら、わたしはベートーヴェンは知っていてもベートーヴェンがそもそもオペラを作っているということ、『フィデリオ』という作品名も全く知りませんでした。

www.nntt.jac.go.jp

オペラ自体もNHK プレミアムシアター - NHK

での放送をたまに観るくらい、あとはこの漫画ですね。

プライド 1 (集英社文庫 い 34-43)

(クライマックス近くまでは)めっちゃ面白い、大御所少女漫画家一条ゆかりさんの『プライド』は、2人のオペラ歌手が主人公です。

 

ではそんなオペラ初心者のわたしが観た『フィデリオ』、どんな作品だったか、ご紹介します!(6/2千穐楽でした)

18世紀セビリア近くの監獄の中庭。門番ジャキーノは、看守ロッコの娘マルツェリーネが最近冷たいと気にしている。彼女は監獄で働き始めたフィデリオ(実は男装したレオノーレ)が気になっていた。フィデリオを気に入ったロッコと他の三人とで四重唱が歌われ、フィデリオロッコに「地下牢で働かせてほしい」と訴える。監獄所長ドン・ピツァロが現れ、手紙の中に密書を見つける。彼はそれを読んで大臣が視察に来ると知り、政敵フロレスタンの幽閉が露見すると身の破滅だと歌い、フロレスタン殺害を決意する。夫フロレスタンを助けるべく獄中に入り込んだレオノーレは、ピツァロに視線を向け、大アリア〈悪者よ!どこに急ぐのか〉を歌う。囚人たちが中庭に出てきて、久しぶりの陽光に喜ぶ。ピツァロは、ロッコが許可なく囚人を外に出したことを咎め、急いで墓を掘るよう命じる。

第2幕
フロレスタンの繋がれている地下牢にロッコとレオノーレが来て、墓を掘り始める。レオノーレは囚人を一瞥し夫と確かめ、囚人にワインとパンを与える。彼は妻だと気付かぬまま感謝する。ピツァロが現れフロレスタンを殺そうとする瞬間、レオノーレが立ちふさがり「彼の妻から殺せ!」と叫ぶ。そのとき大臣到着を告げるラッパが聞こえ、ピツァロは戻らざるを得なくなる。大臣の前でフロレスタンは解放され、妻と抱きあう。ピツァロは逮捕され、歓喜のうち幕となる。

 見どころ&ものがたり|ベートーヴェン『フィデリオ』公式サイト|新国立劇場 オペラ

 

 

全体について

まず、舞台美術から、地下二階、地上一階の、監獄を中心としたかなり大がかりなセットが組まれています。地下二階は場面によっては見えず、話の展開によって、囚人たちのいる地下二階の牢獄がせり上がってくる仕組み。大きな劇場にかなり大型のセット、存在感と迫力がありました。基本的に監獄での話が中心ですので、舞台・客席も終始暗め。セットが大きいため、上手下手サイド、バルコニーの席の方は、歌手が歌う場所によっては死角があって見難かったのではないかな~?と思います。わたしは正面近い席だったので大丈夫だったのですが。

看守の娘、マルツェリーネはロマンティックな(ちょっと子どもっぽい)ピンクを基調とした花柄の部屋、キュートなドレス、ウェディングドレスに着替えたりして、とっても可愛らしい。フィデリオ(実はレオノーレという女性)への恋心を朗らかに歌う。フィデリオは青年兼本来の女性であるレオノーレの歌声、台詞声を使い分け、歌う。マルツェリーネに迫られても、自分は実は女で、囚われの身の夫フロレスタンもいると(こっそり)語る。フィデリオはなんとか夫が囚われている牢獄に入ることに成功し、二幕は夫フロレスタンと再会…ついに政敵である監獄所長ドン・ピツァロに立ち向かう。この物語と同時に、地下牢に集団で囚われている囚人たちが度々現れます。そしてクライマックス、大臣により…囚人たちは解放され……

と、ここまでの基本的な流れはおそらく他の演出版でも同じ。

しかし、今回のこのカタリーナ・ワーグナー(あのワーグナーの子孫!)

Katharina Wagner – Wikipedia

演出版の白眉は、このオペラを「問題劇」「社会風刺的」に演出しているところ。

他の演出を観ていないので『フィデリオ』その他上演について、意見は出来ないのですが、上記のあらすじを読むと、基本はフツーにハッピーエンド、めでたしめでたし、となるんだろう…と思います。

ところが…!

今回の演出、ハッピーエンドではありません。

あえて言うならレオノーレとフロレスタンはメリー・ハッピーエンド、そして囚人たちはバッドエンドです。

ここからくわしくネタバレ。

レオノーレはフロレスタンと再会、ピツァロに立ち向かう、(おそらく)このオペラで見せ場の一つであるアリアを高らかに歌う。

ところが……!!

結局、ふたりはピツァロに(地下一階の)牢獄に閉じ込められてしまう。牢獄の入り口を、ピツァロが石をどんどん積み上げ、ふさいでしまう…ということは、つまり二人は、近いうちに地下の牢獄で死を迎える。(アイーダとラダメスみたい)クライマックスにレオノーレとフロレスタンが歌う勝利の歌は、(おそらく本来)牢獄から脱出できた喜びの歌。しかし今回は、死を前にしても尚、強い絆で結ばれた二人が、「愛する人と共に生きる」という決意をし、結果、人生の尊厳を勝ち取った勝利の歌して歌われる。

そして囚人たち…大臣の前で高らかに解放が宣言されます。

地下二階の真っ暗闇の中で、囚人たちをまばゆいばかりの明るい光が照らす。自由の喜びを歌う!ここがもう本当にクライマックス!

ところが………!!!

最後の最後に看守ロッコの娘・マルツェリーネと、門番ジャキーノが、再び囚人たちの牢屋の扉を閉めてしまう…!!

そして暗転して幕。帰りがけに周囲から「あれはいったいどういうこと?」「よくわからない」「世の中簡単にはいかないということ?」と言う声がちらほら聞こえました。

わたしはオペラに全く詳しくないので、勝手に解釈しますが、要は、これは現代社会を風刺しているんだと思うんですよね。レオノーレとフロレスタンがピツァロに立ち向かって勝利を一旦はおさめたかに見え、しかし逆転し、ピツァロという強い権力を持った者に敗れる(=死)、しかし二人の精神は強い絆で結ばれ、「幸せ」(=尊厳を獲得)であるのです。そしてマルツェリーネとジェキーノ。大臣によって囚人たちの解放が宣言されたのに、最後にまた囚人たちを彼らが囚われの身にしてしまう。手のひらを翻す。

これ、現代社会の至るところであるあるじゃないですか。

ベートーヴェンという、全世界誰でも知っている、超超著名な音楽家が作曲した古典的な『フィデリオ』という作品に、こんな現代的な、まさに今現代世界のあちこちで起こっている事例を想起させるような演出をしてしまうカタリーナ・ワーグナーはかなり思い切った演出をしたな、と思いました。

その場の観客もSNSでも賛否両論。わたしはオペラもフィデリオもあんまり詳しくないので、単純に面白く観れましたが、これまでのおそらくハッピーエンドなフィデリオを観、知っていた方は面食らったのかもしれません。

 

キャストについて

フィデリオ役(リカルダ・メルベート)って、難しいですね~。シェイクスピアでも、『十二夜』等、男装する女性、って結構出てきて、それって昔は俳優は男だけで、少年が女性役やってたからなんですが、オペラはどうなんでしょうか?カステラ―トとか、そういうのも関係あるのかな。とにかく男女二役、声や芝居の使い分けが必要なため、難しいでしょう。声色を使い分け、巧みに演じてました。

そして、オペラ全く詳しくないわたしでも、特に上手い~~!凄い!と思ったのは、フロレスタン役のステファン・グールド。Stephen Gould

一幕は、ずーーーっと下(地下一階の牢獄)でなんかゴソゴソやってます。二幕から、柱に描いたレオノーレの肖像に向け歌ったり、レオノーレと出会ってから…歌う場面が増える。歌声がとてもよく響き、美しく、劇場を包み込むようなまろやかな声でしたし、お芝居心も感じました。素晴らしかったです。

そしてミヒャエル・クプファー=ラデツキーのドン・ピツァロ。michael kupfer-radecky's webpage

恐ろしい、不気味な存在感が印象的でした。クライマックス近く、レオノーレとフロレスタンのいる監獄の入口に、ひとつひとつ煉瓦を積んで、二人をじわじわと閉じ込めていく。得体も知れない恐ろしさ。こわっ…!

ラスト、クライマックスに大勢の囚人たちが出てきて歌う、解放への歓喜の歌も素晴らしかったです。合唱は新国立劇場合唱団 の方々。

オペラって、劇場自体の造りもとてもよく、音が響くし、オーケストラもミュージカルのそれと違い、かなり大規模なもの。

「生の音」にじぶんが包まれている感覚が、演劇やミュージカルのそれとは全然違って、そこがまたとても魅力的でした。

指揮の飯守泰次郎さんは、新国立劇場のオペラ芸術監督を務めており、今回で退任とのこと。お疲れ様でした、素晴らしい演奏に聞き惚れました。

また生のオペラも、新国立劇場で色んな演目を、観たくなりました!

チケットがめっちゃ高いから、色々各種割引を駆使してまた観に行きます…!!

 

お得なチケットの買い方

さて、最後に。

新国立劇場はめっちゃお得なチケット割引があります。

チケット購入方法・割引のご案内 | チケットについて | 新国立劇場

まず、Z席(演劇、バレエ。オペラもかな?)はなんと¥1620!演劇はちょっと二階サイドから見る感じですが、それでも割と見えるし、かなりお得、バレエやオペラの劇場(オペラパレス)だとほとんど舞台が見えない、等あるかもしれませんが、とにかくお得!だって高い席だと2万、それ以上ですよ?

加えて学生は当日券半額!この学生は年齢制限がないので、社会人学生等の方でも適応されます。

更に対象公演は限定されますが、U25・U15ファミリーメンバーズ、U39の割引きがあります。

公演の2週間前に案内が届き、前者はオペラS席がなんと¥5000!後者は¥11000!それでも本来の定価、例えば『フィデリオ』ならS席¥27000(めっちゃ高い…!)ですから、もうとにかくめちゃくちゃお得なんです!わたしも、たまに利用、演劇に関してはZ席はめちゃくちゃ活用しています、当日学生割引もめっちゃ活用していました!

お金はあんまない、席は拘らないけど、舞台芸術文化に触れたい!って方には本当におすすめです!

さすが国立の劇場!ちなみに託児サービス (予約制)もあるし、65歳以上高齢者割引もあるし、初台は新宿からたった一駅(歩いても15分位)だし、本当色々な世代の方におすすめの劇場です!演目も良作、挑戦的な演目等、色々ですが、総じてクオリティは高いのではないでしょうか。

わたしはバレエ・オペラは門外漢ですが、演劇に関しては沢山の佳作・良作が上演されています。

 

長くなりましたが、オペラ初観劇が新国立劇場のオペラパレスで良かったな、と。あとバレエやオペラ、音楽ホールとして有名なところだと、上野の東京文化会館 Tokyo Bunka Kaikan 、渋谷のBunkamuraオーチャードホールあたりだと思います。前者も音響良いらしい。(漫画『プライド』情報…笑)

でも新国立よりはチケットって高めだと思いますので、新国立、大変オススメです!

わたしも新国立を中心に、今後も色々なジャンルを観ていこうかな、と思います。

 

では今後も色んなエンタメ、舞台芸術を取り上げていきますので、宜しくお願いします!

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