ナギ ナリコのENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

上田久美子が宝塚のショーに開けた風穴。

こんにちは。本日はこどもの日!ですね~GWいかがお過ごしでしょうか、わたしは色々忙しくて。まあ遊んでもいますが、もうちょっとゆったりしたい…GWに観劇した作品のレビューは、少しずつアップしていきたいと思います!

 

今日はもう、ズバリですけど、宝塚座付き演出家「上田久美子」論です

とりあえずPart.1、ということで?、現在公演中、明日、5/6(日)で大千穐楽を迎える、月組BADDYについてから。

 

まず、ショーテントタカラヅカ『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』の上演が発表された時、SNS(Twitter)はかなりザワツキましたね~。

私自身もあれ?まず演出家がわからなくて、カンパニー/BADDY並びにこのタイトル、どっちがショー?二つ芝居?と思ったことを覚えています。

そして、今現在、宝塚で最もその作品作りが注目されている上田久美子が初ショー作品を担当する、とわかった。

わたしはウエクミせんせい(勝手に呼んでいる)の大ファンですので、もう、嬉しかったですね~!

SNSでの反応も好意的なもの、驚きの声、多かったと思います。

 

月組トップ、珠城りょうさんは、上田久美子さんの初演出作品バウホール公演『月雲(つきぐも)の皇子(みこ)』

で関わりが深い。この作品、大変好評だったようで、急きょ東上が決定、かなりタイトなスケジュールでしたが、今はなき(名前が変わった)天王洲銀河劇場での上演もされています。

この作品は、珠城りょうさんにとって、早くも代表作のひとつで、この公演に参加した現花組鳳月杏さん、元雪組トップ娘役咲妃みゆさん、他の月組のメンバーにとっても、かなり試金石となった公演だったと思います。当時の月組子の芝居力が充分に発揮された作品。それ位、演者の使い方、要はあてがきも上手かった。本は言うまでもなく。

 

今回は、作品論、というか少しBADDYについて書きたいので、ここはさくっ、としておきますが…そんな上田久美子×珠城りょうの再タッグ。それが、宝塚はじまって初めての女性演出家のショー!!現在もっとも作品に期待が集まる演出家、上田久美子による!

この興奮…!!

nagi-narico.hatenablog.com

初日の感想はレポしました!!

BADDYで上田久美子が開けた風穴とは、いわゆるこれまでの形式的なショー作品作りを踏襲しながら、ある種パロディ的なショーに仕立てているところです。

ファンとしていいますと、ぶっちゃけ最近のショーはマンネリ傾向、というか、だいたいどの演出家も似たようなものを作ってきているんですよ。

ショーとして駄作、みたいな作品は少なく、結構佳作だったり、良作だったりすると思うのですか、なんというか…マンネリ。ベテラン演出家は自分のスタイルを崩さないし、つまりは自己模倣、若手演出家はベテラン演出家を習って、その模倣になっていることが多い訳です。

定番は、例えば

幕開け、トップスターが登場し、周りにわらわら先導役がいたりして、OP、ラテン/ジャズ/スパニッシュ、シンデレラ(ダメ男の)変身ストーリー/ミュージカル調の芝居がかった場面/若者のダンスシーン/ジゴロ(順不同)、中詰めのスターの次々銀橋渡り、若手の銀橋残り、破壊と再生(特に藤井大介ショー)/大人数での爽やかな群舞(退団者ピックアップ)、男役群舞、トップコンビのデュエットダンス、挨拶、エトワール出てきてフィナーレ。

みたいな。

藤井大介先生はもうほぼ上記のような感じだし、稲葉太地先生も似たような感じ。斎藤吉正先生はもっとテンポが速く、選曲がキャッチー、あてがき力が強く、若手の野口幸作先生はこれまでの傾向を踏襲+往年のミュージカルやショー作品の要素を。中村暁先生は芝居がかった場面が多い、中村一徳先生はダンスショーで割とテンプレ感強い。大ベテラン酒井澄夫先生と岡田敬二先生は、自己模倣感が強く、テンポ感がゆったりめ、

だとか。

今回のBADDYは久しぶりの「ストーリー仕立てのショー」です。

基本的にショーは芝居がかった場面はあっても、全編芝居仕立て、というものは少ないです。

思いつくのは、往年の名作、1971年初演、鴨川清作作、真帆志ぶき主演『ノバ・ボサ・ノバ』。

『ノバ・ボサ・ノバ』『めぐり会いは再び』 | 星組 |

直近では柚希礼音さん時代の星組で長きにわたって公演。

 

星組月組二組が同年に同じショーをした

タカラヅカ絢爛─灼熱のカリビアン・ナイト─』

TAKARAZUKA REVUE 公演案内

タカラヅカ絢爛Ⅱ─灼熱のカリビアン・ナイト─』

TAKARAZUKA REVUE 公演案内

既に退団されていますが、演出家荻田浩一さんの

『バビロン―浮遊する摩天楼―』等もストーリー仕立て、と言えるかもしれません。

宝塚歌劇 公演案内

(まだまだにわかなので他に名作ストーリー仕立てのショーと言えばこれ!というのがあったら教えて下さい。)

 

ストーリー仕立てのショーがあまり作られないのは、単純に、普通のショーより経費がかさむのかな、というのと、演出家やジェンヌへの負担も大きいからかもしれません。

 

しかしウエクミせんせいはそんな、テンプレショーの空気に風穴を開けた…!

カンパニーと併演ですが、皆帰る時は口ぐちに「バッティ、バッティ」とBADDYの話ばかりです。私自身もBADDYが大好きで(カンパニーもすきですが)、ここ最近の宝塚の公演だと一番通ってしまったかも。それ位、インパクトがあり、印象に残り、ハマる人はハマる、そんなショー。これまで若手ながら数々の名作をつくり、そのスターの代表作を作ってきた「女流演出家」上田久美子が、今回このショー『BADDY』を打ち出した意義はとても大きいと思います。

既存のショーでよく使われる手法、上記に描いた通りですね、を踏襲しながら、とても革命的で、斬新な場面、新鮮な場面も多い。そして社会批評に富んだ作品でもあります。

実は、ミュージカルも、ストレートプレイも、名作と呼ばれる作品は、社会批評に富んだ作品であることが多い。タカラヅカではそういう社会批評的なスタンス、演出家の主張みたいなものは、基本的に嫌がられます。スターそれぞれが舞台の主役だから、演出家の主張をさせるコマにしてはダメ、みたいな。

それを上田久美子はトップスター珠城りょう、トップ娘役愛希れいか、月組子を立てながら(当て書き)、既存のショーの枠組み、手法を踏襲し、社会批評的な自分の主張を織り交ぜ、観客を取り込んでいる。

これってすごいことですよ。伝統的であり、革新的。

BADDYについては、好意的な評価が多く、勢いを感じますが、一方で、否定的な意見もチラホラ聞きます。

そしてそれは、あたりまえのことです。多くの人の心を揺さぶる作品は、多くの人の反感も買うものです。

わたし自身は、BADDYは今後も時折語り伝えられるような、名作だと思います。ただ、再演は難しい。まさに、今の時代性を反映したショーであり、3年、5年後には絶対出来ない。

 

以上、このショーを見て…とにかくわたしはウエクミ先生が心配になりました。若くして、こんな色々な様々なことをやって、出来て、タカラヅカファンという目の肥えた観客の評価も得ている。

ウエクミ先生、しばらくしたら外部の演出をやってみるのもいいけど、今しばらく宝塚にいてね。歌劇団さんもしばらくは引き止めてね。

 

わたしは、これからは、他の女性演出家、上田先生より先輩の植田景子先生や小柳奈緒子先生にもショー作品を作ってもらいたいです。まだ女性のショー作家はいないですが、見てみたい。中堅生田大和先生は今度宝塚巴里祭の演出をされます。(ショー作家デビューを期待!)新進原田諒さんは日本物ショーでショー作家デビューをしたましたので、今度は洋物のショー作品を作るのを期待。(というか芝居よりそっちがむいていそう…)

どんどん新しい時代の流れを作って行って欲しいですし、これからもいわゆる「定番のショー」だけではなく、色んな試みをして欲しいのです。芝居(ミュージカル/歌劇)では結構色んなジャンルの、舞台の、作品がありますよね!?

 

明日はいよいよBADDY千秋楽!ライブビューイングですが、めいいっぱい楽しみたいと思います!!

後日、『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』/『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』もきちんとレビューしたいと思います。千秋楽のレポも、出来たら。

 

これからもウエクミせんせいの活躍に期待するぞー!ほかのショーもたのしむぞー!

ナギナリコでした~!

 

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