ナギ ナリコのENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

演劇におけるブラックフェイス問題と「Cultural appropriation」について。

2017年の大晦日のバラエティ番組をきっかけにSNS上で盛り上がったこの標記の問題。

演劇界の動向が気になった方も多いのではないでしょうか。

 

わたしにとって大問題なのは演劇の中でも、特に宝塚歌劇についてです。

宝塚にはいわゆる「黒塗り化粧」といって、特にラテンの音楽を使うショーや芝居では肌を黒めに塗る傾向があります。

他の芝居でも黒塗り化粧は時たまありますが、ここまで肌を塗らないことが多い。

宝塚は独特の「宝塚メイク」が存在するので、それに合ったお化粧をすることからなんですよね。

また、2016年度に読売演劇賞を獲った作品「For the people」

花組公演 『For the people —リンカーン 自由を求めた男—』 | 宝塚歌劇公式ホームページ リンカーン大統領が主人公、アフリカン・アメリカンのキャラクターもたくさん登場しました。

わたしはその芝居自体は面白く観れましたが、一方で日本人がこのレベルの黒塗りメイクをしたキャラクターを演じるのはアウトはないのか…?

という印象がぬぐえませんでした。

そもそもリスペクトうんぬんを問わず、黒塗り化粧していわゆる黒人をまねる行為自体が差別的な行為です。

リスペクトがあれば~~は理想的ですが、それがどうして傍から見てわかるのか?示すのか?社会派の演劇なら許されるのか?

無理です。だから、そもそも極端な黒塗り化粧はNG、ってことでいいと思います。

追記:2018年も黒塗化粧のラテン・ショー、宝塚でやります)

公演解説 | 雪組公演 『凱旋門』『Gato Bonito!!』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

ただ思うのは、これは人種のサラダボウル・アメリカ発の問題だということです。

日本にはいわゆる黒人系の歌手はいても、役者はほぼいませんし、例えば両親のどちらかが黒人系の出自の子どもが、宝塚や歌舞伎等、伝統芸能の道に進んだことは、これまであまり聞いたことがありません。(仕事ならもう普通にあって、コンビニや飲食店のアルバイトは外国籍の方が非常に多くなっている。わたしがむかしアルバイトしていた職場も色んな国の方がいました。)

演じる役者がいないから、そもそも先述のような芝居を上演したい、と考えたらメイクを工夫するしかない。けれど、例えばミス・サイゴンのように金髪にするくらい、の工夫でいいのではないでしょうか。うーん…まだまだ問題が顕在化するには時間がかかるのかな。

ABT(アメリカンバレエシアター)では初の黒人バレリーナプリンシパルが誕生しました。しかも「白鳥の湖」を踊るのだから画期的な、歴史的な事件ですよね。

ミスティ・コープランドさん、世界最高峰バレエ団のプリンシパルに

ちなみに本国ではこういう意見も実はあるらしいですよ。

黒人プリマの活躍に透けるアメリカ社会の本音と建前 - 田村明子 (ジャーナリスト)

日本でも数年のうちにそういうことが起こるのでしょうか。

 

我々は蝶々夫人アメリカ映画の芸者役を日本人以外がやっていても、どうこうとあまり主張してこなかった気がします。メガネで出っ歯、と映画で日本人が描かれていても。日本人が人種問題に疎いからなのか、もしかしたらわたしが知らないだけかもしれませんが。

けれど、本来日本人が演じる役を、日本人以外、例えば外国人からは同じに見えるアジア系で演じること自体どうなのか、という疑問もあります。先述の宝塚で言えば、日本人がそもそも「肌も髪の色も違う」「外国人」を芝居の題材にするのはどうなんだ…ですよね…(ただ、日本の演劇はもともと日本文学から作られた演劇と、西洋人を演じることで発展してきた演劇があるんですよね……)

英語で言う、「Cultural appropriation」

Cultural appropriation - Wikipedia

ハリウッド映画「SAYURI」等、

SAYURI [Blu-ray]

SAYURI - Wikipedia

この映画、わたしの記憶が正しければ元々日本人でのキャスティングが想定されていて、オーディションが行われました。当時、「SAYURI」というタイトルは出していなかったけど、そういう大規模オーディションの密着番組がありました。キャスティングは奈良橋陽子さん。でも結局日本人は選ばれなかった…のですよね??

チャン・ツィイーは中国出身の女優さんですが、日本人が見れば、「アジア系だけど日本人とはちょっと違うな」と思うようなヴィジュアル。そしてこの映画、日本人が見ると、数々の「トンデモ日本」描写が出てきます。

演劇界で言えばミュージカル、「ミス・サイゴン」のキムはアジア系の女優さんが本国でも演じることが多い。最近日本でもキムや「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン、エポニーヌは外国籍の方が演じる機会も増えていますね(これは余談かな)

おそらくですけど、アメリカにおいてスパニッシュやアフリカン・アメリカン等、いわゆる黒人系はコミュニティやバックについている組織が大きいから色々問題に上がるんでしょうが、アジア系、日本人はそうでもないのから…問題が顕在化しないのか…な…?絶対数が少ないため。(推測です)

ひとくちにアジア系、と言っても中国出身者の華僑、朝鮮系、東南アジアの各国、日本とでは、こちらからしたら似ているようで結構違うんですよね。育ってきた文化が顔つきも変える、というか。そもそもアジアの横のつながり!みたいな意識もまだまだあまりないですし。

 

うーん話題が広がり過ぎたかな。

まとまっていないですが、とにかく今後こういう民族的なトピックはアメリカから始まり、更に世界中に広まっていき、日本でも近いうちにもっと議論するべき話題になるでしょう。

 

既に日本でも、街中を歩いていると外国人の観光客も店員さん、ワーカーもかなり見掛けるようになりましたし、公立の小学校でも両親のどちらかがいわゆる「日本人ではない」という子どもは珍しくなくなっているようです。そういう児童・生徒にどういう支援・指導を行っていくか、フォローしていくかが教育界では既に課題になっています。

外国人児童生徒の多様性への対応(文部科学省)

外国人児童生徒に対する教育的支援に関する基礎資料(同上)

認定NPO法人 多文化共生センター東京

 

いずれにしても、日本という色々と閉鎖的で保守的な島国でのことだから、他の国よりもっとこの問題が一般的に広がるまでには時間はかかるでしょうね。

 

ここでもわたし自身が、あえて何かを主張する、したい、と言うわけではありません。

でも微力な備忘録としてですが、いち演劇ファンとして、人として、大事な問題だと思うので、今回記事を書きました。

ただ、常に世界の動き、流れを感じ取れる自分でありたいものです。人間の価値観はどんどん進化しているのですから。それに乗り遅れないように。真摯に向き合いたい問題です。

 

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